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バレンタインデー・シーフ
出典先 心に宿すもの URL:http://heartland.geocities.jp/hito_onyoss/ 著者 Hito
「お願いパティ!チョコの作り方教えて!」
「ええ〜ラナまで〜?」
もうすぐバレンタインデー。ラナは恋人であるファバルに、手作りチョコをプレゼントしたくて、作り方を教えて貰おうと、パティに頼んだのだ。
「え、私の他にも…?」
「他にもってもんじゃないわよ!全く。みんな私を頼って来るんだから。」
ラナがふと顔を上げると、軍の主立った女性陣が勢揃いしていた。
「全く、ラナもラクチェもティルナノグで何してた訳?みんな料理くらいはしてたんでしょ。」
「それはそうだけど、でも…お菓子なんか作った事なくて…どうしたらいいかわからないもの。」
「ふーん!私も同じだとは思わなかった訳だ。」
「え…?」
「当たり前でしょー。お金も足りなくてお腹の空かせた子供を沢山抱えてたのよ。お菓子なんか作ってる余裕、ある訳ないじゃない。」
「パティは料理が得意だから…」
「だからって、お菓子の作り方を知ってると思われてもねえ。…ティニーはどうなのよ。お城に住んでて、お菓子の作り方も知らなかったの?」
「わ、私は…厨房に入れてもらう事もなかったから…」
「フィーは?お母様に教えて貰ったりしなかったの?」
「料理は、どうも苦手で…」
「ナンナは…?」
「パティさんと一緒です。明日の食べ物にも困って、それどころじゃ…」
「リーンは?」
「十の時に踊り子になってからは、お店で踊ってて、賄いばかり食べてたから…」
「アルテナ様は?」
「贅沢は敵だ、が合言葉でしたから…」
「…ユリアは、聞いても仕方ないわね。」
「はい…」
「…しょうがないわねえ…」
「パティ?」
「私がどうにかするしかなさそうね。何とかして情報を集めてくるから、少し待ってて。みんな。」
途端に皆の顔が明るくなる。
「本当!?ありがとう、パティ。」
「いいって事よ。」
「大丈夫なの?パティ。」
「任せなさーい!」
「…とは、言ったものの…どうしたら…」
パティは街を歩き回りながら、思案にくれていた。ふと、そこに目についた様々なチョコ菓子の数々。お菓子屋のショーウインドーに並んだ、バレンタイン用のお菓子だった。お菓子屋の奥では、職人が次から次へと様々なお菓子を作っている。
(これだ!)
パティの脳裏にある考えが閃いた。
次の日、朝からパティはお城の厨房で色々なチョコのお菓子を作っていた。
「うわぁ〜!凄い!これみんなパティが作ったの?」
「どれも美味しそう!」
「ちょっと、これは試食なんだからね、みんな、判ってる?」
「私このトリュフがいい〜!」
「ガトーショコラって、美味しいわね。」
「ブラウニーもなかなかいけるわよ。」
「簡単なのはどれなの?」
その後皆それぞれ思い思いのお菓子を作った。パティは皆の解らない所を教えたりしていた。
「パティは、作らないの?」
パティの作ったクッキーが少し残っていたが、それを彼氏にあげる訳じゃないだろう。
「私のは、作り立てが美味しいのよ。」
そういってウインクしたパティ。どうやらとっておきがあるようだった。
そしてバレンタイン当日…
「セリス様…これを貰って下さい!」
ティニーがセリスに渡したのは、ハートに型どられたブラウニーだった。
「ティニー?」
「今日はバレンタインデーなので…一生懸命作りました。」
「美味しいよ。ティニーって、お菓子作りが上手なんだね。」
「い、いえ…初めてなので、パティさんに教えて貰って…」
「へえー、パティが?」
「は、はい。」
「でも僕の為に頑張ってくれたんだね、嬉しいよ。」
「セリス様…」
「アーサー、これ。」
「これ?」
「作ったのよ、あげるわ。」
「フィーが?」
フィーは苦手ながらも頑張ってクッキーを作っていた。
「ん、美味しい。」
その感想に盛大な溜息をついたフィー。
「よかったぁ〜パティがいないとこんな事出来なかったよ〜」
「パティ?」
「…教えて貰ったの…」
「ふーん、そりゃ、パティにも感謝しないとな。」
「…うん。」
形が少し不揃いな所に、余計に一生懸命さが見られ、アーサーは嬉しくなる。
「フィーって、可愛い所あるな。」
「…馬鹿。」
「よっ、ラクチェ、その包みは?もしかして俺へのプレゼントか?」
ラクチェは顔を朱に染めながらも、黙って想い人に包みを渡す。…直後に、走り去ってしまったが…包みを開けると、トリュフが顔を出す。
「う、うまい!」
「アレス、はいどうぞ。」
「何だこれは。」
「何だって、バレンタインのプレゼントよ。」
「ほう…こんな事してくれたのは、初めてじゃないか。」
言いながら包みを開ける。可愛く飾り付けられたガトーショコラが顔を出す。
「うん、美味いな。」
「そう?こういうの作ったの初めてだったから…喜んで貰って良かった。」
「初めてにしては上出来じゃないか。」
「パティのお陰よ。」
「成る程な。」
「リーフ様…どうぞ。」
「うわあ…これナンナが作ったのかい?」
様々に彩られた小さなチョコの詰め合わせが、食欲をそそる。
「はい、お口に合うかわかりませんが…」
「美味しい!こんな美味しい物を食べたのは、初めてだよ、ナンナ。」
「あ、ありがとうございます!」
「いかがですか、兄上。」
アルテナがアリオーンに渡したのは、ウィスキーを中に入れたチョコを、いくつか丁寧に包んだ物。
「美味しいよ。アルテナがこんな物を作るようになるとはな。いい仲間を持ったな。」
「兄上…」
「こ、これをどうぞ。」
「ユリア…君が作ってくれたのかい。」
「は、はい…」
ごく小さめに作られたケーキには、恋人の名がさりげなく刻まれている。
「美味しいよ、ユリア。」
「よ、良かった…パティさんに教えて貰って…」
「そうなんだ。上品な味だね。まるでユリアみたいだ。」
「あ、ありがとうございます…デルムッドさん…」
「はいどうぞ、ファバル。」
「お、サンキュー。」
ハート型のケーキに、思わずファバルは息を飲む。
「おお、これは凄いな。」
「でしょう。パティに教えて貰ったのよ。」
「うん、うまいよ。ありがとな、ラナ。」
「どう致しまして。」
「はいレスター、お待たせ〜!」
「おお〜パティ、待ってたよ!」
返事とともにレスターのお腹が鳴った。
「ほら、パティちゃん特製のフォンダンショコラよ。温かいうちに召し上がれ〜!」
「うん、美味い、最高!」
「でしょ〜!レスターならこれ絶対気に入ると思ったんだ。」
「パティも食べてみろよ。」
「え…?」
「ほらよ。」
そう言ってレスターがスプーンを差し出す。一口食べれば、温かいチョコの味がとろりと口に広がる。
「ん、我ながら上出…?」
パティの口が塞がれた。口の中を舌で掻き回される。
「な、何を…?」
「うん、パティの口の中でさらに美味くなった!」
ニヤリとするレスター。
「…な訳ないでしょうが!もう!」
「皆の為にお菓子を教えてくれたんだってね、ありがとう、パティ。」
「そんな…セリス様…私はたいした事は…」
「ううん、みんな喜んでたよ。パティのお陰だ。」
「いえ、そんな風に言ってもらえるなんて…」
「そうかい?そういえばこの前街のお菓子屋さんに泥棒が入ったらしく、レシピが盗まれたらしいんだ。」
「え…?」
「お金でも食べ物でもなく、レシピを盗むなんて、変わった泥棒だよね。」
にっこりと…これ以上ないと言う程に爽やかな笑顔に、パティは寒気を覚えた。
「そうですね…」
「お菓子屋さんは随分困ってたよ。いくら手慣れた職人が多いとは言え、売り物にする以上、間違う訳にはいかないからね。」
「はは…」
パティの顔がひきつる。
「案外、その盗賊も僕等と同じくらいの女の子だったりしてね。じゃあね、ありがとう、パティ。」
そう言って爽やかに去っていくセリス。
(とにかく…今夜…返しておこう…)
セリスはあえて追求しなかったんだろう。頑張った女の子達に、悲しい思いをさせない為に。だけど…
(怒られる方が、百倍マシ…)
今更ながらに背に流れる冷や汗の量に気付くパティであった。
「お願いパティ!チョコの作り方教えて!」
「ええ〜ラナまで〜?」
もうすぐバレンタインデー。ラナは恋人であるファバルに、手作りチョコをプレゼントしたくて、作り方を教えて貰おうと、パティに頼んだのだ。
「え、私の他にも…?」
「他にもってもんじゃないわよ!全く。みんな私を頼って来るんだから。」
ラナがふと顔を上げると、軍の主立った女性陣が勢揃いしていた。
「全く、ラナもラクチェもティルナノグで何してた訳?みんな料理くらいはしてたんでしょ。」
「それはそうだけど、でも…お菓子なんか作った事なくて…どうしたらいいかわからないもの。」
「ふーん!私も同じだとは思わなかった訳だ。」
「え…?」
「当たり前でしょー。お金も足りなくてお腹の空かせた子供を沢山抱えてたのよ。お菓子なんか作ってる余裕、ある訳ないじゃない。」
「パティは料理が得意だから…」
「だからって、お菓子の作り方を知ってると思われてもねえ。…ティニーはどうなのよ。お城に住んでて、お菓子の作り方も知らなかったの?」
「わ、私は…厨房に入れてもらう事もなかったから…」
「フィーは?お母様に教えて貰ったりしなかったの?」
「料理は、どうも苦手で…」
「ナンナは…?」
「パティさんと一緒です。明日の食べ物にも困って、それどころじゃ…」
「リーンは?」
「十の時に踊り子になってからは、お店で踊ってて、賄いばかり食べてたから…」
「アルテナ様は?」
「贅沢は敵だ、が合言葉でしたから…」
「…ユリアは、聞いても仕方ないわね。」
「はい…」
「…しょうがないわねえ…」
「パティ?」
「私がどうにかするしかなさそうね。何とかして情報を集めてくるから、少し待ってて。みんな。」
途端に皆の顔が明るくなる。
「本当!?ありがとう、パティ。」
「いいって事よ。」
「大丈夫なの?パティ。」
「任せなさーい!」
「…とは、言ったものの…どうしたら…」
パティは街を歩き回りながら、思案にくれていた。ふと、そこに目についた様々なチョコ菓子の数々。お菓子屋のショーウインドーに並んだ、バレンタイン用のお菓子だった。お菓子屋の奥では、職人が次から次へと様々なお菓子を作っている。
(これだ!)
パティの脳裏にある考えが閃いた。
次の日、朝からパティはお城の厨房で色々なチョコのお菓子を作っていた。
「うわぁ〜!凄い!これみんなパティが作ったの?」
「どれも美味しそう!」
「ちょっと、これは試食なんだからね、みんな、判ってる?」
「私このトリュフがいい〜!」
「ガトーショコラって、美味しいわね。」
「ブラウニーもなかなかいけるわよ。」
「簡単なのはどれなの?」
その後皆それぞれ思い思いのお菓子を作った。パティは皆の解らない所を教えたりしていた。
「パティは、作らないの?」
パティの作ったクッキーが少し残っていたが、それを彼氏にあげる訳じゃないだろう。
「私のは、作り立てが美味しいのよ。」
そういってウインクしたパティ。どうやらとっておきがあるようだった。
そしてバレンタイン当日…
「セリス様…これを貰って下さい!」
ティニーがセリスに渡したのは、ハートに型どられたブラウニーだった。
「ティニー?」
「今日はバレンタインデーなので…一生懸命作りました。」
「美味しいよ。ティニーって、お菓子作りが上手なんだね。」
「い、いえ…初めてなので、パティさんに教えて貰って…」
「へえー、パティが?」
「は、はい。」
「でも僕の為に頑張ってくれたんだね、嬉しいよ。」
「セリス様…」
「アーサー、これ。」
「これ?」
「作ったのよ、あげるわ。」
「フィーが?」
フィーは苦手ながらも頑張ってクッキーを作っていた。
「ん、美味しい。」
その感想に盛大な溜息をついたフィー。
「よかったぁ〜パティがいないとこんな事出来なかったよ〜」
「パティ?」
「…教えて貰ったの…」
「ふーん、そりゃ、パティにも感謝しないとな。」
「…うん。」
形が少し不揃いな所に、余計に一生懸命さが見られ、アーサーは嬉しくなる。
「フィーって、可愛い所あるな。」
「…馬鹿。」
「よっ、ラクチェ、その包みは?もしかして俺へのプレゼントか?」
ラクチェは顔を朱に染めながらも、黙って想い人に包みを渡す。…直後に、走り去ってしまったが…包みを開けると、トリュフが顔を出す。
「う、うまい!」
「アレス、はいどうぞ。」
「何だこれは。」
「何だって、バレンタインのプレゼントよ。」
「ほう…こんな事してくれたのは、初めてじゃないか。」
言いながら包みを開ける。可愛く飾り付けられたガトーショコラが顔を出す。
「うん、美味いな。」
「そう?こういうの作ったの初めてだったから…喜んで貰って良かった。」
「初めてにしては上出来じゃないか。」
「パティのお陰よ。」
「成る程な。」
「リーフ様…どうぞ。」
「うわあ…これナンナが作ったのかい?」
様々に彩られた小さなチョコの詰め合わせが、食欲をそそる。
「はい、お口に合うかわかりませんが…」
「美味しい!こんな美味しい物を食べたのは、初めてだよ、ナンナ。」
「あ、ありがとうございます!」
「いかがですか、兄上。」
アルテナがアリオーンに渡したのは、ウィスキーを中に入れたチョコを、いくつか丁寧に包んだ物。
「美味しいよ。アルテナがこんな物を作るようになるとはな。いい仲間を持ったな。」
「兄上…」
「こ、これをどうぞ。」
「ユリア…君が作ってくれたのかい。」
「は、はい…」
ごく小さめに作られたケーキには、恋人の名がさりげなく刻まれている。
「美味しいよ、ユリア。」
「よ、良かった…パティさんに教えて貰って…」
「そうなんだ。上品な味だね。まるでユリアみたいだ。」
「あ、ありがとうございます…デルムッドさん…」
「はいどうぞ、ファバル。」
「お、サンキュー。」
ハート型のケーキに、思わずファバルは息を飲む。
「おお、これは凄いな。」
「でしょう。パティに教えて貰ったのよ。」
「うん、うまいよ。ありがとな、ラナ。」
「どう致しまして。」
「はいレスター、お待たせ〜!」
「おお〜パティ、待ってたよ!」
返事とともにレスターのお腹が鳴った。
「ほら、パティちゃん特製のフォンダンショコラよ。温かいうちに召し上がれ〜!」
「うん、美味い、最高!」
「でしょ〜!レスターならこれ絶対気に入ると思ったんだ。」
「パティも食べてみろよ。」
「え…?」
「ほらよ。」
そう言ってレスターがスプーンを差し出す。一口食べれば、温かいチョコの味がとろりと口に広がる。
「ん、我ながら上出…?」
パティの口が塞がれた。口の中を舌で掻き回される。
「な、何を…?」
「うん、パティの口の中でさらに美味くなった!」
ニヤリとするレスター。
「…な訳ないでしょうが!もう!」
「皆の為にお菓子を教えてくれたんだってね、ありがとう、パティ。」
「そんな…セリス様…私はたいした事は…」
「ううん、みんな喜んでたよ。パティのお陰だ。」
「いえ、そんな風に言ってもらえるなんて…」
「そうかい?そういえばこの前街のお菓子屋さんに泥棒が入ったらしく、レシピが盗まれたらしいんだ。」
「え…?」
「お金でも食べ物でもなく、レシピを盗むなんて、変わった泥棒だよね。」
にっこりと…これ以上ないと言う程に爽やかな笑顔に、パティは寒気を覚えた。
「そうですね…」
「お菓子屋さんは随分困ってたよ。いくら手慣れた職人が多いとは言え、売り物にする以上、間違う訳にはいかないからね。」
「はは…」
パティの顔がひきつる。
「案外、その盗賊も僕等と同じくらいの女の子だったりしてね。じゃあね、ありがとう、パティ。」
そう言って爽やかに去っていくセリス。
(とにかく…今夜…返しておこう…)
セリスはあえて追求しなかったんだろう。頑張った女の子達に、悲しい思いをさせない為に。だけど…
(怒られる方が、百倍マシ…)
今更ながらに背に流れる冷や汗の量に気付くパティであった。
はい、これはバレンタイン直前の特別配布の小説です。
出典先は上に書いてます。
見てみると今後、子世代を書くときの参考になりそうです。
では、時々は他のサイトに足を運んで、フリー配布の作品で気に入った物を載せていきます。
こんなサイトもあるんだよ、と、みんなに知って貰う為にと自分のサイトの繋がりを増やす為に。
出典先は上に書いてます。
見てみると今後、子世代を書くときの参考になりそうです。
では、時々は他のサイトに足を運んで、フリー配布の作品で気に入った物を載せていきます。
こんなサイトもあるんだよ、と、みんなに知って貰う為にと自分のサイトの繋がりを増やす為に。
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